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アントシアニン

2024年03月20日 2024年03月20日

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「アントシアニンにはどのような効果があるの?」
「アントシアニンを含む食材には何がある?」

アントシアニンは、植物に含まれる天然の色素のことです。健康に良い働きがあることから、アントシアニンを含む食材やサプリメントを積極的に摂っている方もいます。

今回は、アントシアニンがもつ効果や、どの食材を摂れば効率良く摂取できるのかなどについて詳しく見ていきましょう。アントシアニンの摂取目安量や効率的な摂取方法も紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

アントシアニンとは?

アントシアニンは、ブルーベリーなどに多く含まれているポリフェノールの一種です。ポリフェノールは、多くの植物に存在する苦味や色素の成分のことを指します。抗酸化作用に優れており、活性酸素を無害な物質に変えることが可能です。

驚くことに、自然界には5,000種類以上ものポリフェノールが存在すると言われています。おもな働きは抗酸化作用ですが、ほかにもさまざまな働きをもつことが特徴です。

アントシアニンは、紫外線などの有害な光から自身を守る働きのある天然の色素としても知られています。赤や紫、青紫の色をしている植物は、アントシアニンを含んでいることが多い植物です。アントシアニンと一言で言われることが多いかと思いますが、実は500以上もの種類があります。種類によって色や構造が微妙に違うのです。

鮮やかな色をもっていることから、アントシアニンは着色料としても用いられています。梅干しの赤色は、赤しそから取れるアントシアニンの色素を利用したものです。合成着色料と比べると安全性が高いため、このように着色料としてもよく用いられています。

アントシアニンが注目されているのは、もちろん着色料としてだけではありません。さまざまな効果が期待されていますが、なかでもよく耳にするのが「目に良い」というものです。「ブルーベリーが目に良い」と言われるのは、実はアントシアニンの働きが関係しています。また、ブルーベリーの約5倍ものアントシアニンを含むビルベリーも目に良いことで有名です。 

アントシアニンの効果・効能は?

アントシアニンには、次のような効果・効能があることで期待されています。

目の機能を改善する

アントシアニンには、ロドプシンの再合成を促す働きがあります。ロドプシンとは、目の網膜にあるタンパク質のことです。目から受け取った光の情報を脳に伝える働きをもっています。アントシアニンによって再合成が促されることで、目の機能が改善すると考えられるでしょう。

また、アントシアニンとアスタキサンチン、ルテインを含む試験食品を6週間にわたって被験者に摂取してもらったところ、プラセボを摂取したグループと比べて「目の焦点が合わない」「手元や近くのもの、細かい文字が見えにくい」などのスコアが有意に改善しました。[1]

白内障の進行をゆるやかにする

白内障は、水晶体を構成しているタンパク質が変性することで黄白色や白色に濁る病気のことです。アントシアニンがもつ抗酸化作用によって水晶体を紫外線ダメージから守り、白内障を予防します。水晶体が白く濁ってしまうのは、酸化が原因です。

マウスを使った実験では、アントシアニンを含んだ餌をあげたグループで白内障の進行がゆるやかになることが確認されました。白内障は、誰にでも起こり得る病気です。80歳以上になるとほとんどの方が発症すると言われています。そのため、早めに予防を行うことが大切です。[i]

緑内障を予防する

眼圧が上がって視野や視力が損なわれる病気を緑内障と言います。眼圧が正常でも緑内障になることがあるため、注意しなければなりません。アントシアニンには、緑内障を予防する効果があると言われています。強い抗酸化作用によって目の健康を守り、緑内障の発症を予防するのです。

カシスアントシアニンを摂取するグループとプラセボを摂取するグループにわけて被験者の観察を行ったところ、カシスアントシアニンを摂取したグループでは有意な眼圧の低下が見られました。緑内障の患者だけでなく、健康な被験者でも眼圧の低下が見られる可能性があります。[2]

メタボリックシンドロームを予防する

メタボリックシンドロームとは、内臓肥満がある状態に高血圧や高血糖などが組み合わさり、心臓病や脳卒中を起こしやすくなっている状態のことです。アントシアニンは、メタボリックシンドロームの予防に効果があると言われています。

アントシアニンを含むベリー類の摂取がメタボリックシンドロームの危険因子にどのような影響を及ぼすか調べた研究では、低密度リポタンパク質の減少が見られました。このことから、アントシアニンを含むベリー類の摂取は、メタボリックシンドロームの危険因子を改善して心疾患のリスクを軽減する効果があると考えられます。[3]

花粉症を予防する

アントシアニンが花粉症を予防する効果をもつ可能性もあります。アントシアニンを豊富に含むカシス抽出物やシアニジン-3-O-グルコシドによって、インターロイキン‐6の分泌が阻害されました。

インターロイキン‐6は、サイトカインと呼ばれる物質の一種です。免疫応答や炎症反応の調節に関与しています。花粉症の症状発現にも関与していることから、花粉症の予防に効果があると考えられます。[4]

アントシアニンを含む食材はどんなのがあるの?

アントシアニンを含む食材としては、次のものが代表的です。

• ブルーベリー

• ビルベリー

• カシス

• 黒豆

• ナス

• ブドウ

• 紫芋

• 紫キャベツ

• 紫たまねぎ

• シソ

上記のように、アントシアニンは紫や青紫色をした食材に多く含まれています。アントシアニンを食材から摂取したい場合は、これらのものを中心に摂っていくとよいでしょう。ただし、アントシアニンは加熱や長期間の保存に弱いことがデメリットです。しっかりとアントシアニンの効果を実感したいのなら、食材から摂るよりもサプリメントを利用したほうが効率的でしょう。

アントシアニンをどのくらいとるのがよいの?

アントシアニンの摂取目安量については、十分な情報がないためとくに基準値がない状態です。そのため、一概に「◯◯mg摂りましょう」と言うことはできません。一説によると、一日あたり約43~90mg摂ると良いとも言われています。厳密に定められた基準はありませんが、こちらを参考に摂取するとよいでしょう。

サプリメントを使用する場合は、パッケージに記載されている摂取目安量を守って使用してください。なお、アントシアニンは水溶性のため、一度に大量に摂取しても体にうまく取り込まれない可能性があります。そのため、一時的に摂取するのではなく日々継続的に摂取を続けるのがおすすめです。

アントシアニンの歴史は?

アントシアニンの論文一覧

[1]Effects of anthocyanin, astaxanthin, and lutein on eye functions: a randomized, double-blind, placebo-controlled study

[2]Effects of black currant anthocyanins on intraocular pressure in healthy volunteers and patients with glaucoma

[3]Effects of Anthocyanin-rich Berries on the Risk of Metabolic Syndrome: A Systematic Review and Meta-analysis

Anthocyanin-rich black currant extract and cyanidin-3-O-glucoside have cytoprotective and anti-inflammatory properties

アントシアニンの参考文献

[i]白内障 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

[ii]メタボリックシンドローム(メタボ)とは? | e-ヘルスネット(厚生労働省)

まとめ

アントシアニンは、強い抗酸化作用をもつ成分です。ブルーベリーやビルベリー、カシスなど紫色の濃い食材に多く含まれています。数々の効果があると言われていますが、目の機能を改善したり白内障の進行をゆるやかにしたりなどの効果が代表的です。

食材から摂取する方法も良いのですが、加熱や長期間の保存に弱いため、しっかりと摂取したい場合はサプリメントを使うと効率的です。摂取目安量についてはとくに厳密には定められていませんので、サプリメントを使う場合はパッケージに記載の目安量を守って使用しましょう。

記事監修者画像

記事の監修岡本妃香里
2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。2018年に退職し、現在は医療ライターとして医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。

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