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ユーグレナとは

2024年02月02日 2024年02月26日

  • お腹

「ユーグレナにはどのような効果があるの?」

「そもそもユーグレナってどのようなものなの?」

数え切れないほどのサプリメントや健康食品があるなか、ユーグレナはとても注目されている成分です。さまざまな栄養素を含むことから、体に良いと言われています。健康のためにユーグレナを摂取したいと考えている方もいるでしょう。

しかし、具体的にどのような効果があるのか、そもそもユーグレナとはどのような成分なのか分からないという方もいるかと思います。

そこで今回はユーグレナとはなんなのか、どういった効果があるのかについて詳しく見ていきましょう。

ユーグレナとは?

ユーグレナは、ミドリムシとも呼ばれる微生物の一種です。昆布やワカメなどと同じ、藻類の仲間として知られています。驚くことに、5億年以上前には誕生していたそうです。藻類の仲間ではありますが、ユーグレナは植物と動物の両方の性質をもっています。

ちなみに、「ムシ」という名前ではありますが、虫とは一切関係がありません。体長は直径0.06~0.09mmほどです。目では見えませんが、顕微鏡を通すとよく見ることができます。

ユーグレナは植物の性質ももっているので、体内にある葉緑体で光合成を行うことが可能です。光合成によって栄養素を自分の体内で作り出します。動物の性質ももっていることから、体を変形させて動き回れることも特徴です。

ユーグレナには、100以上の種類があると言われています。市販されているサプリメントに含まれているユーグレナの多くは、ユーグレナグラシリスという種類のものです。ところで、なぜユーグレナはサプリメントとして注目されているのでしょうか。

その理由は、ユーグレナが59種類もの栄養素を含んでいることにあります。13種類のビタミン、19種類のアミノ酸、12種類の不飽和脂肪酸、9種類のミネラル、その他6種類の元気成分を含んでいるのです。私たち人間が健康を維持するために必要な栄養素がすべて含まれているとも言われており、健康に良いことで注目を集めています。

ユーグレナの効果・効能は?

ユーグレナは59種類の栄養素を含み多くの栄養素を一度に摂取するために役立つ成分です。ユーグレナには下記のような効果・効能があります。

ダイエット効果

ユーグレナには食物繊維が含まれていることから、腸内環境を整える働きがあります。痩せ体質になれるかどうかには、腸内環境が大きく関わっていることから、ユーグレナにはダイエット効果があるとも言えるでしょう。ユーグレナに含まれている食物繊維の働きにより、太りにくい体質に近づくことができます。

髪の毛を健康にする

髪の毛のほとんどはたんぱく質でできています。ユーグレナはたんぱく質の生成を促進させることから、髪の毛の健康を維持することが可能です。また、髪の毛を強くするために必要な亜鉛も含まれています。毛乳頭細胞に加水分解ユーグレナエキスを添加することで、細胞が増殖する働きも確認されています。

腸内環境を整える

28名の男女を対象にユーグレナを30日間摂取してもらったところ、酪酸産生菌のフィーカリバクテリウムの占有率が上昇することが分かりました。このことから、ユーグレナがプレバイオティクスとして腸内細菌叢のバランスを整える可能性があると言えます。

睡眠の質を高める

ユーグレナによって睡眠の質が良くなることも示唆されています。ユーグレナを4週間続けて摂取した方では、接種前と比べて深い睡眠に入る回数が増加したのです。継続的にユーグレナを摂取することで、深い睡眠を取りやすくなると言えるでしょう。

ユーグレナに含まれるパラミロンに関しても複数の論文が発表されています。

急性肝障害を予防する

急性肝障害とは、ウイルス感染や薬物アレルギー、循環不全などによって起こる急性の肝機能障害のことです。多くはウイルス感染によって起こります。中国で行われた研究では、ユーグレナ独自の成分であるパラミロンがマウスの急性肝障害を予防することが分かりました。

急性肝障害は死亡率が高く、有効な治療方法は残念ながら存在しません。リポ多糖とD-ガラクトサミンによって急性肝障害の状態にしたマウスにアルカリ化したパラミロンを与えたところ、急性肝障害が軽減することが発見されました。アルカリ化したパラミロンが炎症と細胞死を緩和することが要因だと考えられています。

マウスによる実験のためヒトでも同様の結果が出るかはまだ分かっていませんが、急性肝障害を治療する新たな方法となる可能性があります。[1]

化学療法による白血球減少症を改善する

化学療法(抗がん剤治療)を行うと、骨髄の機能が低下するため、白血球減少症になります。白血球は体内に侵入した病原体から体を守る重要な存在です。

ゲムシタビンを使った化学療法を行う前にユーグレナグラシリスをマウスに経口投与したところ、白血球が迅速に回復する様子が観察されました。このことから、ユーグレナが化学療法による副作用を改善するのに役立つのではと期待されています。[2]

慢性腎臓病の進行を抑制する

慢性腎臓病の効果的な治療法や予防法は現在のところ存在しません。しかし、ユーグレナに含まれているパラミロンには、慢性腎臓病の進行を抑制する働きがある可能性があります。

慢性腎臓病モデルのマウスにパラミロンを含む食事を与えたところ、慢性腎臓病の症状が軽減することが分かったのです。パラミロンは、慢性腎臓病の進行を抑制する新しい成分である可能性があります。[3]

肥満を予防する

β-グルカンの一種であるパラミロンは、肥満に対して効果を発揮する可能性があります。オスのマウスにユーグレナグラシリスから抽出したパラミロンを添加した高脂肪食を74日間にわたって投与しました。これにより、脂肪酸代謝が変化し、脂質やグルコースの代謝が改善される可能性があることが分かったのです。[3]

腸内環境を整える

28名の男女を対象にユーグレナを30日間摂取してもらったところ、酪酸産生菌のフィーカリバクテリウムの占有率が上昇することが分かりました。このことから、ユーグレナがプレバイオティクスとして腸内細菌叢のバランスを整える可能性があると言えます。

ユーグレナをどのくらいとるのがよいの?

ユーグレナには、とくに摂取量は定められていません。そのため、サプリメントや健康食品によって推奨される摂取量が異なります。それぞれの商品ごとに目安量が異なりますので、パッケージに記載された量を目安に摂取するようにしてください。

一般的にユーグレナを含有した商品は、1日あたり500~1,000mgを摂取できるようになっていますので、こちらの量を参考にするとよいでしょう。目安量を超えて過剰摂取すると、下痢や腹痛になる恐れがあります。

ユーグレナに含まれているパラミロンには、食物繊維と似たような働きがあるため、摂りすぎるとお腹に影響が出てしまうことがあるのです。ユーグレナに

限らずサプリメントや健康食品は、適量を摂取することが大切です。目安量を守りながら摂取を続けていきましょう。

ユーグレナの歴史は?

ユーグレナは、1660年代にオランダのレーウェンフックにより発見された生物です。豊富な栄養素を含むため、当時から注目を集めていました。1950年代になるとアメリカでユーグレナを使った光合成に関する研究が始まります。

1970年代には、NASAがユーグレナに注目し、さらなる研究が進められました。現在はユーグレナを使用したサプリメントや健康食品だけでなく、医薬品の開発も進められています。

ユーグレナの論文一覧

[1]Paramylon from Euglena gracilis Prevents Lipopolysaccharide-Induced Acute Liver Injury

[2]Oral administration of Euglena gracilis paramylon ameliorates chemotherapy-induced leukocytopenia and gut dysbiosis in mice

[3]Renoprotective effects of paramylon, a β-1,3-D-Glucan isolated from Euglena gracilis Z in a rodent model of chronic kidney disease

Effects of Paramylon Extracted from Euglena gracilis EOD-1 on Parameters Related to Metabolic Syndrome in Diet-Induced Obese Mice

 

まとめ

ユーグレナは、微生物の一種として知られています。微生物ではありますが光合成を行い、自分で動き回ることができるという特徴をもつ生物です。59種類もの栄養素を含むことから、ビタミンやミネラル、アミノ酸などの摂取源として重宝されています。

ユーグレナに含まれるパラミロンは、急性肝障害や慢性腎臓病の進行、肥満などを抑制する働きがある可能性がある成分です。今後もユーグレナの効果に関しては研究が進められていくことでしょう。

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記事の監修岡本妃香里
2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。2018年に退職し、現在は医療ライターとして医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。

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