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グルコサミン

2024年04月02日 2024年04月02日

  • 血液・血管

グルコサミンは薬局やドラッグストアで手軽に購入できる成分の一つです。「いくつになっても健康に歩きたい方に」「膝の調子が気になる方に」などのように、膝のサポートを目的として販売されていることが多くあります。

よく耳にする成分かと思いますが、なぜ膝に良いのか、ほかにどのような効果があるのかについては知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、グルコサミンに期待されている効果について詳しく解説します。グルコサミンを多く含む食材や一日の目安となる摂取量についても紹介しているので参考にしてみてください。

グルコサミンとは?

グルコサミンとは、動物や人間の軟骨や結合組織に多く存在するアミノ糖と呼ばれる物質です。カニの甲羅やエビの殻などにも多く含まれています。関節内でクッションのような役割をはたしていることから、グルコサミンは膝に良い成分だと言われているのです。

しかし、グルコサミンは年齢を重ねるにつれて減少していくことが分かっています。グルコサミンは体内でも作られる成分ですが、生成量が次第に減ってしまうのです。

グルコサミンは安全な成分というイメージがあるかもしれませんが、ワーファリンなどの抗凝固薬との併用には注意が必要です。抗凝固薬の作用を増強させる可能性があるため、出血しやすくなる恐れがあります。抗凝固薬を服用している方は、医師や薬剤師に相談してからグルコサミンを使用するようにしましょう。

グルコサミンと似ている成分として、コンドロイチンが知られています。コンドロイチンはサメの軟骨に多く含まれている成分です。ネバネバとしており、関節内をはじめ、粘液や角膜、血管壁などさまざまな部位に多く含まれています。

グルコサミンは基本的に安全性が高く、副作用が少ないことが特徴です。ただし、人によっては胃部の不快感や胸焼け、月経痛を引き起こす可能性があります。

また、甲殻類にアレルギーがある方や敏感な方がグルコサミンを摂取すると、アレルギー症状が起こる可能性も懸念されています。

甲殻類アレルギーは殻ではなく身を摂取したときに起こるものなので、アレルギーを起こす可能性は低いと言えるでしょう。実際に、甲殻類アレルギーの方がグルコサミンを摂取し、アレルギー症状が出たという報告はされていません。心配な方は避けるようにしたほうがよいでしょう。[i]

グルコサミンの効果・効能は?

グルコサミンには、次のような効果・効能が期待されています。

変形性膝関節症の改善

滑膜関節由来の細胞を使った試験管内の研究ではありますが、グルコサミンとあわせてコンドロイチンを投与することで、変形性関節症を改善させる効果が期待されています。グルコサミンとコンドロイチンを投与することで、ヒト関節軟骨細胞におけるⅡ型コラーゲンとプロテオグリカンの合成を増加させることが分かりました。

Ⅱ型コラーゲンとプロテオグリカンは、いずれも膝関節に多く含まれている成分です。臨床試験でもグルコサミンとコンドロイチンが膝の痛みや機能に対して有益な効果をもたらすことが報告されています。なお、グルコサミンが変形性関節症の治療に有効かどうかについては、まだ明確にはされていません。[1]

膝関節のクッション性を向上させる

グルコサミンを摂取すると、関節の周囲のクッション性が向上することが分かっています。膝の関節の間には、クッションの役割をはたしている軟骨が存在し、関節をスムーズに動かしたり衝撃から守ったりしています。

しかし、軟骨が減ると関節に大きな負担がかかり痛みが出てしまうことがあるのです。グルコサミンは、関節の周囲にクッションを作ることで、膝の負担を軽減したり動きをなめらかにしたりする効果が期待されています。[i]

肌の健康を守る

グルコサミンが皮膚や皮膚細胞に対して有益な効果をもたらすことが分かっています。グルコサミンは、ヒアルロン酸合成を促進させる働きがあることが特徴です。そのため、創傷治癒を促進したり皮膚の水分量を改善したり、しわを改善したりする働きが期待されています。

メラニン色素を作るのに必要な酵素であるチロシナーゼの活性化を阻害する働きもあることから、色素沈着の改善にも効果的です。[2]

緑内障の改善

緑内障は、眼圧が上昇することで視神経が圧迫され、視力障害が起こる病気です。グルコサミンは、房水の流出に関連しているグリコサミノグリカンに影響を与え、緑内障を改善する可能性があるとされています。

ただし、詳しい効果についてはまだ明確にはされていません。今後のさらなる研究が期待されます。[3]

血液をサラサラにする

グルコサミンには、血中の血小板の凝集を抑える効果があります。血小板とは、血管が破れたところに付着して出血を止める細胞です。出血を止めるためには欠かせないのですが、増えすぎると血栓ができる原因になります。

グルコサミンには、血小板凝集を阻害する可能性があることが研究によって明らかになりました。そのため、血液をサラサラにする効果が期待できます。しかし、ワーファリンなどの抗凝固薬を服用している方がグルコサミンを使用すると、ワーファリンの働きが強まって血液が固まりにくくなることもあるので要注意です。[4]

グルコサミンを含む食材はどんなのがあるの?

グルコサミンを多く含む食材としては、次のものが知られています。

• カニの甲羅

• エビの殻

• 牛・豚・鶏の軟骨

• うなぎ

• オクラ

• 山芋

• ふかひれ

• 干しエビ

有名なのは、カニやエビの殻です。しかし、毎日のようにカニやエビを食べるのは簡単ではありません。

グルコサミンを気軽に摂取してアクティブな毎日を送りたい方は、サプリメントを利用するのもおすすめです。

サプリメントのなかには、グルコサミン以外にコラーゲンやヒアルロン酸などの膝に優しい成分が同時に配合されているものもあります。さまざまな種類のサプリメントがあるので、自分に合うものを見つけてみてください。

グルコサミンをどのくらいとるのがよいの?

グルコサミンの摂取量は、一日あたり1,500mg程度が適量だと考えられています。ただし、グルコサミンを摂取したからといって、痛み止めを飲んだときのような即効性はありません。少しずつ効果を発揮する成分のため、毎日続けて使用することが大切です。

グルコサミンを食事から摂取する場合は、殻ごと食べられるエビ料理などをおすすめします。しかし、食事のみから1,500mgものグルコサミンを毎日摂取するのは簡単ではありません。効率よく摂取したいと考えている方は、サプリメントを活用するのがおすすめです。サプリメントなら一日に数粒飲むだけで簡単に目安となる量を摂取できます。

グルコサミンは比較的、安全性が高いと言われている成分です。しかし、ラットを使った試験では、長期間にわたって高用量のグルコサミンを摂取すると腎臓に負担をかける可能性があることが分かっています。また、人によっては下痢や便秘、悪心や胸焼け、頭痛などの副作用が起こることもあるため、体に合わないと感じたときは摂取を止めて医師や薬剤師に相談しましょう。[ii]

グルコサミンの歴史は?

グルコサミンは1960年代にはすでに、ドイツとイタリアにおいて関節炎の治療に有効である可能性があることが分かっていました。その後、マウスや鶏を使ってさらなる研究が行われ、

1980年代には人間の変形性関節症にどのような効果があるのかについての研究が始められています。グルコサミンが膝にどのような影響をもたらすのかについては、現在も研究が進められているところです。

グルコサミンの論文一覧

[1]What is the current status of chondroitin sulfate and glucosamine for the treatment of knee osteoarthritis?

[2]Glucosamine: an ingredient with skin and other benefits

[3]Natural therapies for ocular disorders, part two: cataracts and glaucoma

[4]Effects of glucosamine and Celadrin on platelet function

グルコサミンの参考文献一覧

[i]健康食品・サプリメント[成分]のすべて2017

[ii]

まとめ

グルコサミンは、膝の調子が気になる方におすすめの成分です。カニの甲羅やエビの殻に多く含まれています。関節内でクッションのような役割をしているグルコサミンですが、年齢とともに減少してしまうため、外から補うことが大切です。

一部の研究では、変形性関節症の改善に効果がある可能性が示唆されています。ただし、具体的な効果についてはまだ研究途中です。

肌の健康を守ったり血液をサラサラにしたりする効果も期待されていることから、グルコサミンは私たちにとって欠かせない成分とも言えます。食事から摂り続けるのは難しいため、サプリメントも活用しながらうまくグルコサミンを摂取していきましょう。

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記事の監修岡本妃香里
2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。2018年に退職し、現在は医療ライターとして医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。

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