ヘコラ

ビタミンCとは?

2023年11月22日 2024年02月26日

  • 体力

ビタミンCは、美容や健康に良い成分として知られています。数多く存在するビタミンのなかでも、とくに知名度が高い成分です。サプリメントを活用して積極的に摂っている方も多いのではないでしょうか。しかし、「具体的にビタミンCにはどのような働きがあるの?」「1日にどれくらい摂取すれば良いの?」と気になっている方も多いはずです。そこで今回は、ビタミンCの効能効果や1日に摂取すべき推奨量などを紹介します。

ビタミンCとは?

ビタミンCとは、水溶性ビタミンの一種です。アスコルビン酸という名前でも知られています。私たちの体内では、L-デヒドロアスコルビン酸やL-アスコルビン酸の形で存在していることが特徴です。哺乳動物の場合、多くは自分の体内でビタミンCを合成できますが、人間は合成に必要な酵素をもち合わせていないため、外から摂取しなければなりません。[i]

ビタミンCの効果・効能は?

ビタミンCには、さまざまな効果や効能が認められています。

コラーゲンを作る手助けをする

ビタミンCは、コラーゲンを生成するのに必要な成分です。コラーゲン繊維が構築される際に、材料としてビタミンCが必要になります。私たちの体の約30%はコラーゲンです。コラーゲンは皮膚や血管などに多く存在しています。そのため、ビタミンCは体を構成するためにも必要な成分だと言えるでしょう。[ii][iii]

血管を丈夫にする

コラーゲンは血管の強度を保つのに必要です。コラーゲンの生成にはビタミンCが必要になるため、間接的に血管を丈夫にする効果があります。

鉄の吸収を助ける

鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄はそのまま体に吸収されやすいのですが、非ヘム鉄はなかなか吸収されません。非ヘム鉄とビタミンCを一緒に摂ると、ビタミンCの働きによって還元されて二価鉄の形になり、吸収されやすくなります。

抗酸化作用

ビタミンCは、強い抗酸化作用をもつ成分です。抗酸化作用とは、活性酸素から体を守る働きのことを指します。活性酸素は、細胞を構成しているたんぱく質や脂質、DNAなどを損傷する物質です。ビタミンCの抗酸化作用により活性酸素を取り除くことで、細胞の酸化を防げます。

がんを予防する

果物や野菜などからビタミンCを多く摂取する方は、肺がんや乳がんなどを発症するリスクが低くなることが分かっています。また、高用量のビタミンCを摂取することでがんが小さくなる可能性があることも分かりました。ビタミンCががんにどれくらいの効果を発揮するかに関しては、まだ研究段階のため明らかではありません。[1]

心血管障害を予防する

果物や野菜などからビタミンCを多く摂取する方では、心血管障害のリスクが低くなることが分かっています。ビタミンCの抗酸化作用によって、心血管疾患が酸化による障害を受けにくくなるためです。ただし、サプリメントからビタミンCを摂った場合に関しては、どれだけ心血管障害の予防に効果があるかはまだ分かっていません。[2]

加齢黄斑変性の悪化を防ぐ

加齢黄斑変性とは、老化に伴って網膜に出血やむくみが起きて視力が低下する病気のことです。ビタミンCとほかの栄養素を併用することで、加齢黄斑変性の悪化を防げる可能性があります。また、一部の研究では、白内障の発症リスクを低下させる可能性があることも分かっているようです。しかし、白内障に関してはまだ確定段階ではないため、さらなる研究が必要となります。

ビタミンCを含む食材はどんなのがあるの?

ビタミンCは、果物や野菜などに豊富に含まれています。食品からビタミンCを摂取したい方は、これらのものを積極的に摂るようにしましょう。とくに風邪を引いたりインフルエンザウイルスに罹患したりしている場合は、体が必要とするビタミンCの量が高まります。風邪の発症リスクを低下させる効果はありませんが、体調を崩しているときは積極的に摂りたいものです。

ビタミンCを多く含む果物類[iv]

食品名 100gあたりに含まれるビタミンCの量
アセロラ 1,700mg
グァバ 220mg
ゆず 160mg
すだち 110mg
レモン 100mg
キウイフルーツ 71mg
ドライマンゴー 69mg
いちご 62mg
ネーブルオレンジ 60mg
グレープフルーツ 53mg

ビタミンCを多く含む野菜類[iv]

食品名 100gあたりに含まれるビタミンCの量
乾燥パセリ 820mg
赤ピーマン 180mg
キャベツ 160mg
ブロッコリー 150mg
かぶ 82mg
ケール 81mg
にがうり 76mg
ルッコラ 66mg
モロヘイヤ 65mg
ほうれんそう 60mg

ビタミンCをどのくらいとるのがよいの?

ビタミンCは体内で生成できないため食事から摂取する必要があるものの、1日あたり10mgほど摂取していれば欠乏症として知られている壊血病になることはありません。一方で、2020年版食事摂取基準によると、成人の場合、1日の推奨量は100mgとされています。また、厚生労働省が公表している「ビタミンCの1日の平均摂取推奨量」では、ライフステージごと次のように推奨量が設定されています。喫煙している方は、以下の平均摂取推奨量に35mgを加えた量を摂取するようにしてください。タバコ1本を喫煙するだけでもビタミンCが25~100mgも破壊されるため、喫煙者は非喫煙者よりも多くのビタミンCを摂取する必要があるのです。[iii][v]

生後6か月 40mg
生後7~12か月 50mg
1~3歳 15mg
4~8歳 25mg
9~13歳 45mg
14~18歳(男子) 75mg
14~18歳(女子) 65mg
成人(男性) 90mg
成人(女性) 75mg
10代の妊婦 80mg
妊婦 85mg
10代の授乳婦 115mg
授乳婦120mg

ビタミンCは水溶性ということもあり、過剰に摂取しても尿から排泄されるため、耐用上限量についてはとくに定められていません。食品にはビタミンCを100mg以上含むものが存在していますが、それらを摂ったからといって健康被害が出たという例は報告されていないのです。ただし、腎機能が落ちている方がビタミンCを摂取すると、腎シュウ酸結石のリスクが高まる可能性があるため注意しましょう。ちなみに、健康な方であってもビタミンCを摂りすぎると吐き気や下痢、腹痛などの症状が出る恐れがあります。また、1日に2,000mg以上のビタミンCを摂取すると、尿中シュウ酸排泄量やビタミンC排泄量が増加するため、2,000mg以上の摂取は推奨されていません。

ビタミンCを効率的に摂取するためには、果物や野菜などをできるだけ火を通さず食べるのがおすすめです。ビタミンCは熱に弱いため、加熱調理をするとすぐに壊れて摂取効率が落ちてしまいます。また、一度に大量のビタミンCを摂るよりも少しずつこまめに摂るのも効果的です。ビタミンCは水溶性のため、体に長い時間とどめておくことができません。一度に大量のビタミンCを摂取しても尿として排泄されてしまうので、こまめに分けて摂取しましょう。そのため、サプリメントを使用するときも、推奨量を一度に飲むのではなく、数回に分けて飲むのがおすすめです。

ビタミンCの歴史は?

ビタミンCが発見されたのは、1919年のことです。イギリスの生化学者であるジャック・ドラモンドが、オレンジ果汁の中からビタミンCを発見しました。ビタミンCが発見されるまでは、果物や野菜をなかなか摂取する機会のない船員たちが次々と壊血病にかかっていったのをご存知でしょうか。壊血病とは、血管がもろくなることで歯茎や鼻などから出血を起こしたり貧血になったりする病気です。18世紀中ごろには、壊血病の治療に柑橘系の果物が有効であることが発見されました。しかし、この時点でビタミンCはまだ発見されていません。1919年にジャック・ドラモンドによって発見された成分は翌年の1920年にビタミンCと名付けられました。

ビタミンCの論文一覧

[1]High-dose intravenous vitamin C, a promising multi-targeting agent in the treatment of cancer

[2]Vitamin C intake and multiple health outcomes: an umbrella review of systematic reviews and meta-analyses

ビタミンCの参考文献

[i]2020年版食事摂取基準

[ii]ビタミンCの働きと摂取目安量、多く含む食品を紹介

[iii]厚生労働省eJIM | ビタミンC | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ | 「統合医療」情報発信サイト

[iv]文部科学省 食品データベース

[v]美容とタバコ 横浜市

まとめ

ビタミンCは、水溶性ビタミンの一種です。コラーゲンを作る手助けをしたり抗酸化作用によって細胞を守ったりする働きなどがあります。ビタミンCを多く摂取したい場合は果物や野菜がおすすめです。アセロラやレモン、キャベツやブロッコリーなどに多く含まれています。果物や野菜を食べる習慣があまりない方は、サプリメントを活用するのもおすすめです。美容や健康のためにも、ビタミンCを積極的に摂りましょう。

記事監修者画像

記事の監修岡本妃香里
2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。2018年に退職し、現在は医療ライターとして医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。

Posted by hecola.