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ゼアキサンチンとは?

2024年06月27日 2024年06月27日

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ゼアキサンチンは、カロテノイドの一種です。カロテノイドとは、動植物に存在する色素成分のことを指します。ゼアキサンチンは緑黄色野菜に多く含まれており、だいだい色や黄色など鮮やかな色をしていることが特徴です。

強力な抗酸化作用をもつことから、さまざまな健康効果があるといわれています。今回は、ゼアキサンチンに期待できる効能効果、ゼアキサンチンを多く含む食材や歴史について詳しく見ていきましょう。

ゼアキサンチンとは?

ゼアキサンチンは、カロテノイドの仲間です。キサントフィルとも呼ばれており、強力な抗酸化作用をもつことで知られています。人間の体内では、目に多く存在している成分です。

網膜には形や色を見分ける視細胞が密集した黄斑部と呼ばれる部分があります。この黄斑部に多く存在しているのが、ゼアキサンチンです。目に多く存在することから、目の健康に大きく関わっています。

ところで、ゼアキサンチンとルテインの違いをご存知でしょうか。ゼアキサンチンの別名としてルテインと呼ばれることもありますが、厳密にはゼアキサンチンとルテインの構造は違います。分子式は同じですが、構造が異なるのです。

少し前までは構造が似ているのでゼアキサンチンとルテインの働きは同じだと考えられていましたが、構造が異なることから働きも違う可能性があるといわれています。

ゼアキサンチンは、ほとんどの方が安全に摂取できる成分です。経口摂取の場合、適量であれば大きな問題は出ないと考えられています。また、妊娠中の摂取についてもとくに問題はありません。食品に含まれている範囲の量であればほとんどの妊婦さんにとって安全だといわれています。

なお、嚢胞性線維症の方は、ゼアキサンチンが含まれる食品を摂取してもうまく吸収できない可能性があります。そのため、サプリメントを活用してゼアキサンチンを摂取した場合も、吸収量が低いかもしれません。[i]

ゼアキサンチンの効果・効能は?

ゼアキサンチンには、以下のような効果や効能が期待されています。

老人性白内障のリスクを低下

ゼアキサンチンは、老人性白内障のリスクを下げる可能性があるといわれてきました。ルテインとゼアキサンチンの両方を摂取することでどのような効果があるのかを調べた結果、同時摂取により活性酸素から水晶体を保護する効果があることが分かっています。

白内障とは、水晶体が白く濁って視力が低下する病気です。白内障の原因はおもに加齢で、活性酸素の働きによって濁ることが分かっています。ゼアキサンチンには活性酸素から水晶体を守り、老人性白内障のリスクを低下させる可能性があります。[1]

黄斑変性症のリスクを低下

血管新生加齢黄斑変性症と診断された55歳から80歳の方356人を対象に食事内容について調べたところ、ゼアキサンチンとルテインの摂取量が多い方では黄斑変性症のリスクが43%低いことが分かりました。とくにカロテノイドが豊富なほうれん草やカラードグリーンの摂取頻度が高いほど、血管新生加齢黄斑変性症のリスクが大幅に低下することが分かっています。

なお、レチノールやビタミンEの摂取は血管新生加齢黄斑変性症のリスクとはあまり関係していませんでした。これらのことから、ゼアキサンチンなどのカロテノイドが豊富な食品の摂取量を増やすことが、血管新生加齢黄斑変性症のリスクを低下させる可能性があることが分かります。[2]

目の健康を守る

目にある黄斑部が黄色く見えるのは、カロテノイドであるゼアキサンチンやルテインが存在しているためです。

黄斑部に多く存在しているカロテノイドは、光誘発性損傷から網膜を保護する役割を担っている可能性があるといわれています。また、食事から摂るゼアキサンチンとルテインの量が増えると、高齢者における加齢黄斑変性症のリスクが低下することも分かりました。

ゼアキサンチンやルテインが光酸化損傷から目を保護してくれるのは、青色光のフィルターとして働いてくれることと、過酸化脂質やスーパーオキシドラジカルアニオンなどの活性酸素を除去する抗酸化物質として働いてくれることが関係しています。[3]

紫外線ダメージを緩和

紫外線を浴びると、白血球が増加してしまいます。ゼアキサンチンとルテインを摂取すると、白血球の増加を抑えられることが分かりました。

マウスにゼアキサンチンとルテインを摂取させて紫外線B波を照射した研究では、ゼアキサンチンとルテインを摂取したグループで紫外線B波による影響が有意に少ないことも明らかになっています。

このことから、ゼアキサンチンとルテインを食事から摂取することが、紫外線B波誘発の光老化から皮膚を保護する働きがある可能性があるといえます。[4]

糖尿病網膜症の予防

糖尿病を誘発したラットにゼアキサンチンを与えて、網膜の酸化ストレスや血管内皮細胞増殖因子、細胞間接着分子を定量する試験が行われました。この試験では、ゼアキサンチンの補給が糖尿病による網膜損傷の増加、血管内皮因子や細胞間接着因子の増加を抑制するのに働くことがあることが分かっています。

糖尿病性網膜症とは、糖尿病になり血糖コントロールが悪い状態が続いたときに起こる血管障害の一つです。悪化すると、網膜出血や網膜剥離につながることもあります。ゼアキサンチンは、糖尿病網膜症の予防に効果があるといえるでしょう。

ゼアキサンチンを含む食材はどんなのがあるの?

ゼアキサンチンは、以下のような食材に含まれています。

・パプリカ
・ほうれん草
・とうもろこし
・パパイヤ
・マンゴー
・スピルリナ
・かぼちゃ

ゼアキサンチンの含有量は、赤いパプリカと黄色いパプリカで異なります。赤いパプリカは黄色いパプリカより多くのカロテノイドが含まれています。

ほうれん草は、ゼアキサンチンだけでなくルテインも多く含まれている食材です。両方を同時に摂ることでより効果が高まることもあるため、ほうれん草は健康維持に嬉しい食材だといえます。マンゴーとかぼちゃは、しっかり熟したあとのほうがゼアキサンチンの量が多くなります。

ゼアキサンチンをどのくらいとるのがよいの?

現時点で、ゼアキサンチンを1日にどれくらい摂取したらよいのか、摂取目安量などについては定められていません。食事の一部として摂取する場合は、1日あたり6.9~11.7mgなら安全だといわれています。そのため、この量を目安に摂取するとよいでしょう。

ゼアキサンチンを摂取するときは、高脂質の食事と一緒に摂ると吸収率が良くなります。過剰摂取した場合の影響については、まだ不明です。1日あたり15mgを最大2年間にわたり摂取しても安全だといわれています。

私たちが普段の食事から摂取しているゼアキサンチンの量は、1日あたり1.52mg程度だといわれているため、普段の生活で過剰摂取になることはないでしょう。ただし、サプリメントを使用する場合は目安量を超えて使用しないように注意してください。[i]

ゼアキサンチンの歴史は?

ゼアキサンチンの名前は、とうもろこしの学名であるジーメイズ(zea mays)に由来しているといわれています。人間の目と深く関わりがある成分として有名です。

カロテノイドの研究は19世紀末から行われていました。1930年代後半には、ゼアキサンチンをはじめルテインやアスタキサンチンなどの構造も明らかにされています。[i]

ゼアキサンチンの論文一覧

[1]Lutein and zeaxanthin supplementation reduces H2O2-induced oxidative damage in human lens epithelial cells

[2]Dietary carotenoids, vitamins A, C, and E, and advanced age-related macular degeneration. Eye Disease Case-Control Study Group

[3]Macular carotenoids: lutein and zeaxanthin

[4]Dietary lutein/zeaxanthin partially reduces photoaging and photocarcinogenesis in chronically UVB-irradiated Skh-1 hairless mice

[5]Beneficial effect of zeaxanthin on retinal metabolic abnormalities in diabetic rats

ゼアキサンチンの参考文献一覧

[i]健康食品・サプリメント[成分]のすべて2017(P1016)

まとめ

ゼアキサンチンは、パプリカやとうもろこし、ほうれん草などに多く含まれているカロテノイドの一種です。人間の目にある黄斑部に多く存在することから、目の機能と大きな関連性があります。

老人性白内障や黄斑変性症のリスクを低下したり紫外線ダメージを緩和したりする効果が期待できることから、ゼアキサンチンは目の健康維持に役立つ成分といえるでしょう。

食事から摂取できる量はあまり多くないため、目の健康維持に役立てたい方はサプリメントなどを活用してみてください。

記事監修者画像

記事の監修岡本妃香里
2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。2018年に退職し、現在は医療ライターとして医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。

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